ネオ・バロック様式の西洋風宮殿建築、迎賓館赤坂離宮は1909年東宮御所として建設される。設計は日本近代建築の父と呼ばれたジョサイア・コンドルの弟子、建築家の片山東熊、2009年に国宝に指定される。ドアには菊の紋章、桐の紋様が施され、正面屋根には鳳凰や甲冑なども装飾される。中央階段の床はイタリア産大理石で、その上に赤絨毯が敷きつめられる。階段の左右の壁面はフランス産の大理石が鏡張りされ、2階大ホール正面の左右の壁面には小磯良平画伯による大油絵が飾られる。
彩鸞の間 大理石で造られた暖炉の両脇に「鸞らん=鳳凰」と呼ばれる架空の鳥をデザインした金色の浮彫りがある。白い天井と壁は金箔が施された石膏の浮彫りで装飾され、10枚の鏡が部屋を広く見せている。条約・協定の調印式や国・公賓とのテレビ・インタビュー等に使用される。
花鳥の間 天井に描かれた36枚の絵、欄間に張られたゴブラン織、壁面には花や鳥が描かれてた30枚の七宝が飾られる。腰壁は茶褐色のシオジ材の板張り、壁の中断は七宝で装飾される。下絵は日本画家の渡辺省亭が描き、明治期の七宝焼きの天才・涛川惣助が焼いた。主に国・公賓主催の公式晩餐会に使用され、最大約130名の席が設けられている。
朝日の間 天井に「朝日を背にした女神が香車を走らせている姿」の絵が描かれる。周囲の16本の円柱はノルウェー産の大理石で、壁に京都西陣の金華山織の美術織物が張られる。床は紫色を基調とした47種類の糸を使い分けて桜花を織り出した緞通が敷かれている。公賓のサロンとして表敬訪問や首脳会議等で利用される。
羽衣の間 謡曲の「羽衣」の景趣を描いた大絵画が天井に描かれる。3基のシャンデリアは赤坂離宮で最も豪華で、重さ800kg、高さ3m。正面の中二階はオーケストラボックスがあり、かつて舞踏会場として設計されたことが偲ばれる。レセプション、会議等で使用されるほか、晩餐会の招待客に食前酒や食後酒が供されるところでもある。花壇や松がありイオニア式の柱が特徴的な本館南面の主庭は、正面とは違う和やかさを感じる景観である。