猿投山
晴れた日に名古屋市の北東に望まれ、豊田市と瀬戸市の境にある猿投山は、木曽山脈の南端に位置する黒雲母花崗岩の山で、愛知高原国定公園に含まれる。
山腹には国の天然記念物に指定されている球状花崗岩があり、断面が菊の花のように美しい紋様を見せることから菊石とも呼ばれている。また、花崗岩が風化した「さば土」は陶土に適している。
山名の由来は景行天皇が伊勢行幸の折、かわいがっていた猿のいたずらに業を煮やし、海に捨ててしまった。その猿が住むようになったことによるという。古くから信仰の山として登られ、山麓に三河国三ノ宮の猿投神社があるほか、原生林に覆われた中腹には東ノ宮と西ノ宮がある。登山道は東海自然歩道が猿投神社から山頂を経由して瀬戸市側の雲興寺へ通じている。
猿投神社
奈良時代に仲哀天皇の勅願で創建された由緒正しい神社で、今では県の重要無形文化財・棒の手の奉納の舞台として知られ、春から夏にかけては周囲を緑包まれ、境内は情緒抜群で舞台建築も見応えがある。
県の無形民俗文化財に指定されている「棒の手」の奉納で有名な、猿投まつりの舞台となるのが、猿投神社で、猿投山の麓に本社があり、猿投山の山頂に、奥の院の西宮と東宮がある。
猿投神社の主祭神は、大碓命(おおうすのみこと)で、古墳時代の皇族の一人、小碓命(おうすのみこと=日本武尊)の双子の兄にあたる。
大碓命はこの地の開拓に尽くしていましたが、猿投山で毒ヘビのために亡くなったとされていて、西宮の後に墓所がある。
また、猿投神社では古くから左鎌を奉納して祈願する風習があるが、御祭神・大碓命が左利きであったことから、左鎌を用いて開拓されたことを慕ったことが起こりではないかと伝わる。
猿投まつり(10月第2日曜とその前日の土曜)
毎年10月の第2土曜に試楽祭、翌日曜に本楽祭が執り行われ、試楽祭では、幻想的な神輿渡御と、力強い棒の手の奉納などが、本楽祭では、棒の手や巫女舞などの奉納が行われる。