アルノルフィーニ夫妻像

『アルノルフィーニ夫妻像』(Portret van Giovanni Arnolfini en zijn vrouw、英: The Arnolfini Portrait)は、初期フランドル派の画家、ヤン・ファン・エイクが1434年に描いた絵画で、精緻な油絵の嚆矢として、西欧美術史で極めて重要視されている作品である。

合計3枚のオークのパネル(板)に油彩で描かれたパネル画で、日本では『アルノルフィーニ夫婦像』、『アルノルフィーニ夫妻の肖像』などと呼ばれる。

イタリア人商人ジョヴァンニ・ディ・ニコラ・アルノルフィーニ (en:Giovanni Arnolfini) とその妻を、フランドルのブルッヘにあった夫妻の邸宅を背景として描き、作品にこめられた寓意性、独特の幾何学的直交遠近法、背面の壁にかけられた鏡に映し出される反転した情景など西洋美術史上でも極めて独創的で複雑な構成を持つ。美術史家エルンスト・ゴンブリッチは、「イタリアのルネサンスにおけるドナテッロやマサッチオの作品と同じように、新たな境地を開いた革命的といえる作品である。魔法のように現実の室内がパネルに再現されている。事物をありのままにとらえることが出来る、完璧な観察眼を持った史上最初の芸術家である」としている。作者ファン・エイクのサインが1434年の日付とともに記され、同じくファン・エイクと兄のフーベルト・ファン・エイクが描いた『ヘントの祭壇画』とともに、パネルに描かれた油絵としてはもっとも古い。ロンドンのナショナル・ギャラリーが1842年に購入し、それ以来ナショナル・ギャラリーが所蔵している。

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