新印象派の画家シニャック

ポール・ヴィクトール・ジュール・シニャック(Paul Victor Jules Signac)は、19世紀~20世紀のフランスの画家で、ジョルジュ・スーラと並ぶ新印象派の代表的画家であった。シニャックは1863年、パリで生まれ、最初は建築を学んでいたが、18歳の時に絵画に転向した。1886年の第8回、最後の印象派展にスーラとともに出品している。シニャックはスーラから大きな影響を受けているが、シニャックの点描画は、筆触がスーラのそれよりも長く、2人の画風は微妙に異なっている。

海を愛し、自らもヨットを操縦したシニャックは、当時まだひなびた漁村であったサントロペに居を構え、海辺や港の風景、ヨットなどを好んで描いた。シニャックは、近代都市の日常生活、特に、室内における家族のいる情景を描くことを得意とした。寡黙で自ら多く語らず、しかも短命だったスーラに代わり新印象派の理論を世に知らしめた点でもシニャックの功績は大きい。  

代表作
サン=トロペの港(1893)(ヴッパータール、ファン・デア・ハイト美術館)
赤い浮標(1895)(オルセー美術館)
夕日の小舟(1891)