長野県下伊那郡、大鹿村

大鹿村は長野県下伊那郡の北部に位置する、南アルプスと伊那山地に挟まれた山間の土地。村の北端は分杭峠で、南端は地蔵峠の難所でもあり、地蔵峠から北流する青木川と、分杭峠から南流する鹿塩川が中央構造線の谷筋に沿って流れ、小渋川に流入する。

村は小渋川と青木川の合流地点である上市場・下市場と、鹿塩川と塩川の合流地点である塩河・塩原の2か所に分かれる。鹿塩地区では塩泉が湧出しており、鹿塩温泉と呼ばれ、海から遠く離れた奥山にありながら古くから製塩が行われていた処。

中央構造線を挟んだ両側の地質が異なり、東側は三波川変成岩からなり地すべり地形が多数分布し、西側は領家変成帯からなり崩壊地が多数分布し平坦地はほとんど分布していない。「日本で最も美しい村」(the most beautiful villages in Japan)、通称「美しい村連合の名称の使用権を管理し、加盟団体の観光の広報活動などをする特定非営利活動法人「日本で最も美しい村」連合に加盟する村落でもある。伝統芸能の大鹿歌舞伎と、南アルプスを臨む美しい環境を守るためにも、この参加が村発展の契機になることが期待されている。

大鹿歌舞伎 (民俗文化財)
300余年前から大鹿村の各集落の神社の前宮として舞台で演じられ今日まで伝承する。
江戸時代から明治時代は、歌舞伎上演は弾圧されたが、村人の暮らしの中に脈々と受け継がれてきた。多くの人が歌舞伎を演じ浄瑠璃を語ったこの村では、幕末から明治にかけ、村内に点在する神社やお堂の境内13カ所に芝居専用の舞台が、神社の前宮などの名で建てられ、現在は7つの舞台が残る。この他、原田芳雄を「いつか主演に」という阪本順治監督の願いが実現した作品、2011年公開の日本映画、『大鹿村騒動記』でもこの村は知られる。クランクイン時のタイトルは『いつか晴れるかな』、大鹿歌舞伎を題材に、笑いあり涙ありの物語が展開する。村民約300人がエキストラ出演している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です