横井弘三(1889~1965)は長野県飯田市に生まれる。1892年に上京し、独学で絵画を学ぶ。作品は人を微笑ませるのびやかな魅力をもち、「日本のアンリ・ルソー」とも呼ばれる。
1915年の第2回二科展に初出品、期待の新人画家に贈られる第1回樗牛賞を受賞する。1923年の関東大震災をきっかけに二科会を離れ、漆絵や焼き絵など新たな技法の開発に取り組む。
その一方で、「理想展」と呼ぶ無鑑査、自由出品のアンデパンダン展を自ら組織し、自分だけの表現を追い求め続ける。戦争を機に長野市に移住した晩年の約20年間は、地元の支援者に恵まれ精力的に制作活動を展開する。多くの作品が愛好家による個人所蔵である。