川奈ホテル

静岡県伊東市川にある奈ホテルは、伊豆半島では数少ない歴史ある洋風ホテルで政治家・著名人の宿泊も多い。1998年(平成10年)4月18日、当時の内閣総理大臣・橋本龍太郎とロシア連邦大統領ボリス・エリツィンによる首脳会談が行われた場所としても知られる。明治時代、大倉喜七郎が大倉財閥の別荘として建設し、戦時中は海軍の病院となるが、戦後は進駐軍による接収を経て大倉財閥の元へ戻ることになった。

東京急行電鉄総帥の五島慶太から、ホテル前に伊豆急行線の駅を作る提案を受けたとき・・・
リゾートホテルの趣旨を理解された、それなりのステータスのお客様を対象で騒がしくなることはホテルの趣旨に反する・・・
と、断った逸話は有名で、ホテル前には駅は無く細い道路で来場するしかない。周囲とは隔絶されたホテルを守っている。

バブル景気時代、筆頭株主の大倉事業や大倉商事が株投機などを目的に、自社が保有する関係会社の株式や川奈ホテルの不動産を担保にして複数の都市銀行から融資を受けるが、1998年(平成10年)に大倉商事が自己破産する。この影響で一部の銀行が担保保全のため大倉事業が拠出した川奈ホテルの不動産抵当権(約340億円)の仮差押を実施し、大倉直系企業の経営危機が表面化する。

これにより資金繰りが悪化し、1984年(昭和59年)に募集した1口3,000万円のゴルフ会員権の逓減全額償還(譲渡禁止で30年間に亘り分割で預託金を満額償還し、権利が失効するもの)という川奈ホテル独自の方式について、償還の打ち止めを1999年(平成11年)に1年間、翌2000年(平成12年)に4年間延ばして実施したが、収支は好転せず、2002年(平成14年)5月21日に670億円の負債を抱えて東京地裁へ民事再生法を申請し経営破綻した。

1998年(平成10年)以来、川奈ホテルと水面下で交渉していたとされる堤義明が率いてきたコクド(2006年(平成18年)に(株)プリンスホテルへ事業承継)が再建スポンサーとして早期に名乗りを上げる。2つのゴルフ場を会員制からパブリック制に転換し、会員権の預託金の価値を大幅縮減することを条件として、同年8月1日付けでホテルとゴルフ場を併せて220億円で買収した(内160億円が銀行の抵当権解消に充当)。以後、コクド(現:プリンスホテル)子会社として運営されている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です