ボリビアの首都ラパスから南東に約 440 km 、ボリビアの南部に位置するポトシはアンデス山脈中の盆地にあり、標高約 4,000 mと人が住む都市としては世界最高地点である。スペイン以前の状況は不詳であるが、町は1546年に鉱山町として設立された。
労働力としてアフリカ人奴隷も連れてこられ、スペイン統治時代に金・銀を多く産出する鉱山が開発され、45,000 t の銀などを産出したが、19世紀にはすっかり枯渇した。1987年、セロ・リコ銀山を含め、他の構造物とともに世界遺産に登録される。奴隷制度の象徴として、負の世界遺産にも数えられ、市内観光の目玉は、この鉱山の中に入るツアーである。
セロ・リコ銀山は1545年、スペイン人により発見された。セロ・リコ(Cerro Rico) とはスペイン語で豊かな丘という意味である。銀の掘削は、生き残った場合は高額の賃金が支払われるものの、強制的に集められたインディオの奴隷により行われ、一説には、800万人が犠牲になったといわれ、人を食う山として恐れられた。
スペイン語で(tio)とは「伯父(叔父)」を指す一般的な単語あるが、ポトシの鉱山でティオというと、坑内の安全を守る神様のことを指す。坑内の休息所には等身大に近い男性の胸像または立像が飾られ、やせ形で赤ら顔でひげを生やしており、しばしば角が生えている。スペイン人を鬼に見立てて作られたものだという説がある。このティオにたばこをくわえさせ酒を捧げることによりご機嫌を取り、坑内の安全を祈願した。