「北のヴェネツィア」、「屋根のない美術館」、「水の都」などと呼ばれるベルギーのブルージュ。世界遺産「ブルージュ歴史地区」は、今なお中世の雰囲気を色濃く残している。
旧市街を縦横に流れる運河には、50以上の橋が架かり運河クルーズで「中世の街」を体感できる。
かつて、ブルージュは、ハンザ同盟の一員で商人が中心となってつくり上げた街で、旧市街には、世界遺産に登録された「鐘楼」、自動車の入れない美しい「マルクト広場」、高さ122mのレンガの塔が目印の「聖母教会」などが見どころ。
豊かな自然に囲まれたベギン会修道院、白鳥の遊ぶ「愛の湖公園」なども中世の街並みを体感させてくれる。
ブルージュは、ブリュッセルから急行電車で、ちょうど1時間、駅から旧市街中心地のマルクト広場まで2~3km程度。
駅を背にして左側の信号で、目前の環状道路を反対側に行くと小さな橋がある。橋を渡って、小さな川に沿って歩くと小さな湖に出る。
日本語で「愛の湖」と呼ばれるこの湖、地元の言葉では Minnewaterと呼ばれ、物悲しい伝説が残るという。
ここはブルージュが港として栄えた頃は内港として機能し、最も栄えた14世紀には世界中からやってくる船が年間を通して100隻以上も停泊していた伝えられる。
この愛の湖に隣接し、ユネスコの世界遺産にも登録されているベギン会院のひとつがある。このブルージュのものは保存状態がよく、最も美しいものの一つと言われる。
土産ショップが数多くあるウェインガルド通り(Wijngaardstraat) 、ウァル通り(Walstraat)、地ビールの「ハーフ・マーン醸造所」のあるウァル広場(Walplein)を通り、観光主要通りカテレイン通り(Katelijnstraat)を抜けると町の中心、マルクト広場。
マルクトとは、地元の言葉でマーケットのことで、町のシンボルとも言える鐘楼がそびえている。
古くから商工業が栄え市民が強い力を持つ自治都市が多くあり、鐘楼はその自治、市民の自由の象徴であった。
マルクト広場の中心に立つ二人の人物の銅像は、ヤン・ブライデルとピーター・デ・コーニンクというフランダース地方の英雄。
マルクト広場からステーン通りとは反対方向にあるベルギー王室御用達のハンドバッグ店デルヴォー(Delvaux)と郵便局の間の小道を入ると「ブルグ広場」(Burg)がある。
ここで一番目を引くブルージュ市庁舎(Stadhuis)は14世紀に建てられたゴシック建築で、このあたり一帯に残る市庁舎の中では、最も古いものの一つである。
市庁舎向かって右横の建物は、地階とその上の両方に聖堂がある2階建の「バジリカ」である。
市庁舎と旧裁判所の間を通り抜けるとブルージュ中を巡る運河のひとつに出る。
ブルージュは、北のベニスとも言われるように運河とボートが市民や商業の交通手段となっていた。
ボードに揺られて水面から街を眺めてみると一味違った風情を楽しむこともできる。