五島列島

長崎港から西に100kmに位置する大小あわせ140あまりの島々が連なる五島列島。自然海浜や海蝕崖、火山景観などと複雑で変化に富んだ地形で、ほぼ全域が西海国立公園に指定されている。

島々には多くのカトリック教会が点在し「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として世界遺産登録を目指す取組みも進められている。かつて、東シナ海で操業する漁船団の先端基地として栄え、いまも漁業が島の重要な産業である。

キリシタン文化を色濃く残す五島列島の中心、福江島。福江地区は五島氏の城下町で石田城跡など史跡も多く、長崎県立五島高等学校は福江藩の居城であった石田城の本丸跡にある。コバルトブルーの中に建つ白亜の灯台、大瀬崎灯台は日本の灯台50選の1つで、五島列島を代表する観光の名所。

五島列島の各地から奇岩怪石をもちより聖母マリア像を安置して霊泉地とした井持浦ルルド。

江上天主堂は世界遺産候補の教会群のひとつで、白と水色を基調とした木造のこじんまりとした作りのロマネスク様式。外部も室内も簡素で、すっきりした構造は日本に定着した木造の様式的教会建築の定型的な姿である。国指定重要文化財、世界遺産暫定リストに登録されている。

南松浦郡、新上五島町の頭ヶ島天主堂は、花にあふれすがすがしい気持ちにもなれる。石を丹念に積み上げた外観は重厚感に溢れ、西日本で唯一、全国的にも極めて珍しい石造りの教会で、堂内は天井や壁面などに花柄の装飾が施される。

新上五島町の青砂ケ浦天主堂のステンドグラスや祭壇は、煉瓦造教会堂の初期の重層屋根構造であり、離島を中心に多数建築された煉瓦造教会堂の構造、意匠の起点とも言われる。小値賀町にある野首天主堂は、江戸時代中期キリシタンへの弾圧から逃れた信者達が造った教会であった。その後、信者がいなくなり荒廃していたが自然学塾村のシンボルとして整備されよみがえった。

今も当時の信者たちの想いが残され、不思議な気配ただよう赤煉瓦造りの教会はパワースポットとしての魅力もありそうだ。若松島南端、奥行52m・幅5mのキリシタン洞窟は、厳しい弾圧から逃れるためキリシタン信徒が隠れ棲んでいたが、やがて発見され処罰された遺跡で、洞窟の入口にはキリスト像がある。

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