スリランカのダンブッラは、コロンボの148キロメートル東方、キャンディの72キロメートル北方で、セイロン島のほぼ中央部に位置する。1991年にUNESCOの世界遺産に登録されたダンブッラの黄金寺院、幹が鉄のように固く密度が高い重い樹木のセイロンテツボクの森林があることでも知られる。
また、この地域は南アジアで最大の紅水晶の鉱山がある。ダンブッラの黄金寺院は保存状態が良く、黄金寺院の周辺には確認されているだけで80以上の洞窟がある。ダンブッラの黄金寺院の歴史は紀元前3世紀にまで遡り、当時は最大規模でかつ最も重要な僧院として機能していた。
紀元前1世紀、王ワッタガーマニー・アバヤ(シンハラ朝第19代国王、在位紀元前89年から紀元前77年)により、僧院は寺院へ転換された。彼は、タミル人によりアヌラーダプラから追放されたがダンブッラで保護され、15年後に再び、アヌラーダプラに帰還した。感謝の念を持って僧院は寺院へと発展を遂げ、多くの増築が施された。
ポロンナルワの王統で最後の王であるニッサンカ・マッラ(在位1187年-1196年)は、寺院を金箔で飾り、1190年には70対の仏像を寺院に納めている。
18世紀には、キャンディ王国により石窟寺院の修復作業が行われた。
石窟寺院は5つの石窟によって構成され、高さ150メートルの岩山の中腹に建設された石窟はアヌラーダプラ時代(紀元前1世紀-993年)、ポロンナルワ時代(1073年-1250年)に大部分が建設された。
第1窟
高さ14メートルの釈迦の石造が安置され”Devaraja lena”とも呼ばれる「聖王の石窟」で、壁画は何度も修復作業が施され、最新の修復作業は20世紀に行われている。
第2窟
黄金寺院の規模では最大規模の石窟であり、別名「マハラジャの石窟」とも呼ばれる。
ヒンドゥーの神であるサーマン、ヴィシュヌの心臓、16体の釈迦の立像、40の釈迦の坐像が安置されている。
聖像には紀元前1世紀の王ワッタガーマニー・アバヤと12世紀の王であるニッサンカ・マッラが施した装飾が残っている。
面積2,100平方メートルに及ぶ天井画が施され、釈迦によるマーラへの説法やスリランカの歴史に関係のある内容が描かれている。
第3窟
「新僧院」とも呼ばれる石窟寺院で、キャンディ王国時代に描かれた天井画と壁画が残る。50の仏像と1体の王の像が安置されている。
第4窟・第5窟
上記の3つの石窟寺院と比較した場合、規模も小さくまた、質もそれほど高くない。