マルセル・デュシャン 現代美術の実際的な創始者

マルセル・デュシャン (Marcel Duchamp、1887年7月28日 – 1968年10月2日)は、フランス生まれの美術家で20世紀美術に決定的な影響を残す。デュシャンが他の巨匠たちと異なるのは、30歳代半ば以降の後半生にはほとんど作品らしい作品を残していない。

画家として出発し、「絵画」らしい作品を描いていたのは1912年頃までで油彩画の制作は1910年代前半に放棄する。チェスの名手としても知られた。ニューヨーク・ダダの中心的人物と見なされ、コンセプチュアル・アート、オプ・アートなど現代美術の先駆けとも見なされる作品を手がけた。

油絵を放棄した後、「レディ・メイド」と称する既製品(または既製品に少し手を加えたもの)による作品を散発的に発表し、1917年には「ニューヨーク・アンデパンダン展」における『噴水(泉(男子用小便器に「リチャード・マット (R. Mutt)」という署名をした作品))』が物議を醸した。

その後、『彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』という通称「大ガラス」と呼ばれるガラスを支持体とした作品の制作を未完のまま1923年に放棄し、ほとんど「芸術家」らしい仕事をせずチェスに没頭していた。彼のこうした姿勢の根底には、芸術そのものへの懐疑がある。墓碑銘に刻まれた「死ぬのはいつも他人ばかり」という言葉も有名で、寺山修司が好んだとされる。

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