米谷清和(昭和22年~ )氏は、長く三鷹にアトリエを構え、日本画の題材としては珍しく都会に暮らす人々の日常的な風景やその孤独を描き出している。
三鷹に住み、そこから中央線で新宿、山手線で渋谷、そして東急線に乗りかえて美術大学に通う日々。くり返しスケッチをした街並み。
人々の表情や仕草から写真にはない情感的なものが伝わる。寂しそうな老人、疲れたサラリーマンたち、表情のないOL、ラッシュアワーの人混み。都会の喧噪の裏にある孤独や人生の悲哀を感じさせるも、その視線はどこか醒めているようで、同じように東京で孤独と戦う人々に対する優しさのようなものも伝わってくる。
米谷芸術は、日常なごく平凡なもの、何気ないもの、いつの間にか自然と心に入ってるものを象徴的に表現するものが特徴とされている。