ソウマヤ美術館 (Museo Soumaya)

メキシコシティにある美術館で、実業家のカルロス・スリム・ヘルのコレクションを所蔵する。「ソウマヤ」とはスリム氏の亡くなった妻の名前、入場無料。1994年、メキシコシティ近郊のSan Ángelに小規模な美術館が創設され、現在はPlaza Loreto館として運営されている。

これとは別に、2011年3月、フェルナンド・ロメロの設計で、メキシコシティ市内に大規模な新館がオープン、Plaza Carso館として運営されている。15世紀から20世紀のヨーロッパ芸術を所蔵し、エル・グレコ、ティントレット、ルノワール、ドガ、ゴッホ、ミロ、ピカソ、ダリ等が展示されている。ロダンの彫刻のコレクションはフランス以外では最大規模である。ホセ・マリア・ベラスコ、ディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ・シケイロス、ホセ・クレメンテ・オロスコ、ルフィーノ・タマヨ等、メキシコの作品も展示されている。その他、工芸品や歴史的な遺品や書類、コインのコレクションも擁している。

カルロス・スリム・エルー(Carlos Slim Helú, 1940年1月28日 – )は、レバノンから移住したキリスト教マロン派(マロン典礼カトリック教会)信者の両親の下に生まれた実業家、慈善家である。少年期より数字への興味が強く、わずか12歳で株式投資を始める一方で、メキシコ国立自治大学では工学を専攻、又その傍ら代数学と線形計画問題について教鞭をとっていた。

テルメックス、テルセル (Telcel) 、アメリカ・モービル (América Móvil) を所有し、ラテンアメリカの通信産業に多大な影響を持つ。1990年、できたばかりのフランステレコムと、やがてAT&Tを再編するサウスウェスタン・ベルをともない、共同出資によりテレメックスを買収した。アメリカ・モービル子会社のテルセルは、2006年11月にアメリカ大使の電報がウィキリークス経由で漏洩して、メキシコ携帯電話市場の8割を独占していることが明らかとなった。

2010年1月29日のEmpresas Cablevisión vs JP Morgan Chase Bank 訴訟判決では、カルロス・スリムの躍進がJPモルガンと密接な関係にあった事実が散見された。2012年4月、メキシコ当局による反トラスト訴訟で1億ドルの罰金を請求された。2014年4月23日、テレコム・オーストリアを傘下に収め、ヨーロッパ進出の足がかりとした。

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