アラビア半島の東南端に位置するオマーンの首都マスカットから、約120km離れた、車で2時間ほどのところにオマーン紙幣にも描かれている「ナハル・フォート」はある。進化し続ける未来都市ドバイやアブダビとは異なり、オマーンにはアラブの古きよき面影や情緒があふれ、独特の自然美が魅力でもある。
ナハルは古くからオアシスの村として栄え、小高い丘の上にそびえ立つ「ナハル・フォート」は17世紀に建てられた砦で、円と直線が織りなす壮大な雰囲気が漂う。迷宮のような造りのフォートには、至るところに階段があり、色々な場所へ繋がっている。
オマーン特有のゴツゴツした岩山、青い空とのコントラストが映える。フォートには小部屋や貯蔵庫、キッチンなど、昔の生活ぶりが感じられる展示もたくさんある。イスラム教を国教とするオマーンは、現在でも男女が別々の部屋で過ごすのが一般的で、日本と同じように靴を脱ぐ習慣があり、絨毯の上に座ってクッションを背もたれにして寛ぐ。
真夏など、40度を越す日が続くオマーンであるが、フォートは厚い土の壁でできているので、風通しも良く、冷房がなくてもとても涼しい。フォートの屋上からは、緑豊かなデーツ園、岩山、ナハル村の家々が眺望できる。