勘八峡

愛知県豊田市にある峡谷で、矢作川の中流、平戸橋から越戸ダムに至る2kmの渓谷で、花崗岩の岩盤が浸食されて形成された。越戸ダムが建設される以前はもっと距離が長く、一帯に奇岩、怪石が連続する奇勝として名高く、江戸時代から観光客を相手にした筏の往来があったといわれる。大正時代から昭和時代初期にかけては鵜飼いや遊覧船が行き交い、急流下りなどが行われていた。1927年に新愛知新聞の愛知新十名所の第6位に選出された。こうした風景も、1929年に越戸発電所が完成後には消えてしまった。現在はダム湖畔には桜が植樹されており、花見の名所としても名高い。ダムはカヌーやボートのメッカとして賑わいを見せるが、峡谷を流れる水量はダムによって制限されるために涸渇気味であり、谷を訪れる人は少なくなっている。なお、ダム湖沿いにある国道153号の駐車スペースの下流側から、晴れて空気の澄んだ日には、恵那山が見える。

越戸発電所

ダムの水は中部電力越戸発電所で発電に使われる。越戸発電所は、昭和4年に完成したダム水路式発電所で、昭和初期の建設だが、発電設備等は全て国産品。右岸に魚道があって、間近で観察することができるようだ。階段式魚道か。毎年4月下旬から6月上旬頃までアユの遡上を見ることができる。

ダム湖は「三水湖」で、矢作川、力石川、御船川の3つの川が合流することから名づけられた。天端左岸に三水湖の碑があって、由来が記されている。湖面はボートの練習場に使われており、周辺は勘八峡と呼ばれ、春には桜が楽しめる。

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