愛岐トンネル群 秋の特別公開 2023

三位一体の魅力=トンネル群、歴史遺産「玉野古道」、愛岐渓谷

  1. 近代化産業遺産「愛岐トンネル群」
    「三位一体の魅力」のトップバッターは、やはり赤レンガのトンネル群と廃線路です。
    トンネルをくぐり鉄道で運んだのは”もの”だけではありませんでした。物を運び、人を運び、夢も涙ものせて運びました。人がトンネルを特別な存在と感じるのは、 トンネルの漆黒を抜けたその向こうに時空を超えた何かがある、と思わせるからかもしれません。
    特に、愛岐トンネル群の100年を超えるで赤レンガのトンネルを眺めると、トラックも建設重機もない時代にこうしたものを造り上げた明治の人々の気概と苦労がしのばれます。トンネルのレンガに手をふれると、明治の人々の心意気が伝わってくるようです。

この愛岐トンネル群の3~6号のトンネル4基は、2009年に経済産業省「近代化産業遺産33」に認定されました。 2012年には文化庁の「NPO等による文化財建造物の管理活用事業」に選ばれ、文化庁から活用活動を受託しました。 また2016年7月には3基の施設が登録有形文化財(建造物)(※)に選ばれることが決まりました。「貴重で素晴らしい歴史 遺産」だと、公けに評価されたことになります。
(※3号4号トンネルと笠石洞暗渠の3施設が16年11月に登録有形文化財に正式登録)

  1. 歴史遺産「玉野古道」
    私たちは玉野古道も貴重な歴史遺産であると考え、整備を進めてきました。
    今では、年2回の特別公開時に大勢のお客様に玉野古道の 散策を楽しんでいただくことが出来るようになりました。

委員会ではさらに玉野古道の調査を進め、近い将来、玉野古道とトンネル(7号と8号)を併用し、古虎渓駅まで散策を楽しめる 「フットパス」を作り上げたいと考えています。それは他の観光地には類を見ないネイチャーロードになるはずです。 明治の人々の心に思いを馳せながら古道を歩くと、周りの景色も違って見えるかもしれません。

  1. 愛岐渓谷(玉野渓谷)
    愛岐渓谷(玉野渓谷)は愛知高原国定公園の西端に位置し、濃尾平野と東濃を隔てる山岳地帯への入口にあります。
    豊かな里山の自然を 残す庄内川のV字渓谷は、大都市近郊と思えない雄大な景観を楽しませてくれます。
    特に昭和初期から戦後しばらくの間は「名古屋の奥座敷」 として多くの観光客が訪れ、駅の下には食堂や旅館、土産物屋などがあってにぎわいました。

名古屋近辺に住む高齢者の方は、幼少の頃、小学校などの遠足で定光寺を訪れた方が多いようです。もちろん、観光バスのない時代のこと。 中央線のSLに乗って定光寺駅で降り、河原で遊んでお弁当を食べ、定光寺にお参りしました。愛岐トンネルに来て、懐かしいとおっしゃる高齢の 方が多いのはそんな理由があるのです。

時は移り、駅は無人となり、駅前銀座?は寂れ、大型ホテルは廃墟となりました。しかし、時代の移り変わりを眺めてきた玉野渓谷は、 今も変わらずそこに流れています。

庄内川は、上流の岐阜県では土岐川と呼ばれています。春日井市玉野町や定光寺駅付近は玉野川と呼ばれることが多いようです。