ルネサンスは、黎明期(1300年 – 1400年)、初期(1400年 – 1475年)、盛期(1475年 – 1525年)、後期のマニエリスム期(1525年 – 1600年)に大別できる。
イタリアでのルネサンス絵画の黎明期はジョット(1267年頃 – 1337年)に始まる。ジョルジョ・ヴァザーリの著書『画家・彫刻家・建築家列伝』によると、フィレンツェ北部出身の羊飼いの少年で、チマブーエに弟子入りし、それまでの伝統的絵画表現の因習にとらわれず、写実的な作品を描き、当時主流のビザンティン絵画とは異なり三次元的に描写した。
描く人物の表情には、喜び、怒り、失望、恥じらい、悪意、愛などが表現、描写されて当時の他の画家の作品とは異なる。盛期ルネサンスでは著名な画家は特定の宮廷、都市と強く結びつくこともあったが、多くの画家はイタリア中を訪れ外交特使の役目を担い芸術と哲学の伝播に重要な役割を果たす。メディチ家による銀行の創設により、貿易の隆盛でフィレンツェに莫大な富をもたらすことになる。
それまで芸術家の重要なパトロンは教会や君主だったが、メディチ家当主コジモ・デ・メディチが新たな芸術パトロン像を確立する。
メディチ家の他には、サセッティ家、ルッチェライ家、トルナブオーニ家など、メディチ家と関係の深い一族が知られる。
マニエリスム期の重要な画家としては、アンドレア・デル・サルト、ポントルモ、ティントレットらである。
ルネサンス期に描かれた絵画作品は、ローマ・カトリック教会からの依頼で制作されたものが多い。
他にも、ルネサンス全期を通し、都市国家からの絵画制作依頼も重要で、公的な建造物の内装はフレスコ画などの美術品で装飾された。
当時の風俗、暮らしぶりを描いた絵画作品もあり、何らかの寓意を意味する作品や、純粋に装飾用に描かれた作品などがある。