エフェソス (トルコ)

トルコ西部の小アジアの古代都市エフェソスは、イズミル県のセルチュク近郊に位置し、古典ギリシア語読みではエペソス、エフェソ、エペソとも表記され現在はトルコ語でエフェス(Efes)とも呼ばれる。

古典期のエフェソスはアルテミス崇拝で王政が敷かれ、哲学者ヘラクレイトスはこの町の出身である。紀元前356年、アルテミス神殿に放火すれば後世に名が残ると考えて実行した者により神殿は完全に焼尽したがアルテミス神殿は再建された。古典古代の世界の七不思議の一つに数えられる。

古典古代の七不思議は、ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、
エフェソスのアルテミス神殿、オリンピアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、ロドス島の巨像、アレクサンドリアの大灯台、と言われることもある。

エフェソスはヘレニズム都市として栄え、紀元前2世紀に共和制ローマの支配下に入り小アジアの西半分を占めるアシア属州の首府で東地中海交易の中心であり、マルクス・アントニウスがプトレマイオス朝エジプトの女王クレオパトラ7世と共に滞在した地でもある。

現在残るアルテミス神殿の遺構はローマ時代に建てられたもので巨大な図書館と劇場を備え、劇場は5万人が収容される。

当初はアルテミス崇拝で知られたギリシア人都市エフェソスは、その後キリスト教を受容し、新約聖書にはエフェソスの教会にあてた書簡
エフェソの信徒への手紙がある。
イエスの母マリアも、使徒ヨハネとともにエフェソスで余生を送ったと伝えられる。

現在のエフェソスはトルコの小村アヤソルクの一部で、アルテミス神殿の遺跡、マリアが晩年を過ごしたといわれる地に建てられた礼拝堂『聖母マリアの家』、聖ヨハネ教会、考古学博物館などがあるトルコの重要な観光地の1つである。
『聖母マリアの家』には、バチカンからの代表者が毎年参拝するほか、歴代のローマ教皇も訪問している。